Jazz Vocalist 山口有紀のブログです


by yukijazzvocal

ニューヨークでわかったこと

金曜日にNYから帰ってきて、東京泊の後、
トミーキャンベルボーカルセッションバンドの2連ちゃん。
昨日は大阪で、お別れのあいさつを。
今夜から、名古屋入りです!

忘れる前に、NYの覚書日記を…。
どちらかというと自分向けの記録日記なので、乱筆乱文、ごめんなさい。

28日(日)
18時にJFK到着。
そのまま、CITY COLLEGEの先生suzanne pittsonに電話。
29日と1日のレッスンの約束しました。

チェックインを済ませた後、
NEW SCHOOLを卒業したばっかりで、
suzannneおすすめの若手singerだという
natalie johnのセカンドセットを聴きに55Barヘ。

美しい声、インプロバイズの多いオリジナルソング。
さすがNYの新人シンガー…と、よく見ると、
3年ほど前NEW SCHOOLで知り合って、
いっしょにZINC BARに遊びにいったことがある女の子。
JAZZの世界は、狭い…(笑)

Natalieとあいさつした後、ノートパソコンを手にスタバへ。
急いでVILLAGE VOICEのサイトを開き、NY中のライブ情報をチェック。

60th stに新しくできた、Dizzy's Club Coca Colaで、
黒人のベテランボーカリスト、Nnenna Freelonの名前を発見!
ライブは聴いたことないけど、渋谷のHMVですごく売れてたような…
早速キャブを飛ばす。まだ9時半、マンハッタンの夜はこれからです!

すでにセットは始まっていたためチャージはフリー(ラッキー♪)
満員のクラブで、アレンジ満載のスタンダードを聞く。
経験値の高いシンガーに多い、
「お客さんからキーワードを集めて即興でブルース」、の場面も。
やはり「金融危機」「ローン」など、厳しいキーワード続出(笑)
「環境」というキーワードに対して「green!」を連呼し続けたアイディアに感動(笑)
キメの多いアレンジたくさん。
レゲエのアレンジも飛び出しました。
どちらかというと「ショー」よりのステージ。
ボーカルの技術が、素晴らしい。

終わったあとは、ZINC BARヘ。
日曜日はブラジリアンが多く、その日もやはり。
インスト2曲の後ボーカリストを聞くも、珍しいことにあまり好きではなかったので、
歩いて5分のVillage Undergroundへ。

マライアキャリーの先生Melonie Danielsの歌や、
Joe Zawinulなどと共演するNathaniel Townsleyのドラムが間近で聴ける
Open Mic(バンドが演奏してくれる、カラオケ)。

黒人の若者たちひしめく中、潜入。
スティービーワンダーや、ジルスコット、ダニーハザウェイの曲のオンパレード。
耳が変わったからか、数年前より感動は減ったものの、
やはりバンドのうまさと、黒人アマチュアシンガーたちの声量はホンモノでした。

25時ごろ終わって、帰途へ。
NYは、ワールドクラスの演奏だらけ。
濃い初日を過ごす。


29日(月)
昼からCITY COLLEGEでsuzanne pittsonのレッスン。
彼女はもとピアニストのジャズシンガー。

私は日本ではVoice Lesson意外受けたことがないので、
Jazz Vocalに最低限必要なハーモニーやピアノのレッスン。
2時間で、かなりのことを教えてもらうことができました。

その後、霧生ナブコさんに会いに、ハーレムへ。
カウントベイシーオーケストラのトランペットプレイヤー
James Zolarさんの奥さんでもあります。
彼女はCITY COLLEGEを卒業後、大学院まで出たシンガー。
NYのブルーノートで歌った数少ない日本人の一人でもある。

ボーカルの理論的なこと、ジャズの精神のこと、既存のCDを使った練習の仕方など、
帰国してから応用可能なことをたっぷりと教えてもらった。

ふたりを紹介してくれた東かおるさんに、心から感謝します。
かおるさん、ありがとう!!

ごはんを食べる暇もなく、昨日行ったDizzy's Clubへ。
大好きなボーカリスト、Gretchen Parlatoのライブがあるのだ。
彼女は毎年アメリカで行われるセロニアスモンクコンペティションで優勝したシンガー。
(歴代優勝者は、ロバータ・ガンバリーニやジェーン・モンハイトなど売れっ子たち。)
ウィスパーボイスと斬新なアレンジ、ハンドパーカッションが特徴。

ファーストアルバムに入っていたビョークのナンバーや
ブラジリアンナンバーに合わせて、次々と新曲が。

印象的だったのは、
新進気鋭のピアニストRobert Glasperの曲に歌詞をつけ歌っていたこと。
NY在住のギタリストFrancis Jacobの歌も。
Wayne Shorterの曲も多数。
Herbie Hancockの名曲butterflyに
リズムアレンジと、一部コードアレンジを加えて歌っていた。
トミーバンドでやっている曲だから、トミーに聞かせたかった(笑)
若手のNYのミュージシャンのトリオも素晴らしかった。

こんなライブを一晩聴けるだけで、
ライブの選曲のインスピレーションは無数に広がる。
NYならではの、醍醐味。

その後は、またZinc Barへ。
ギタリストRon Afiffのトリオを聴く。
強烈なジャムセッションに発展。素晴らしい!
朝4時ごろまで演奏を聴いて、ホテルへ。

30日(火)
滞在3日目だとは信じられないほど濃い2日間の後、
少し休憩…と、おみやげチェックもかねてホテルのあるSOHO周辺をぶらぶら。
イタリア街からチャイナタウンへ南下して、昼食はタイ料理。

ホテルへもどった後16時からふたたびナブコさんのレッスンを受けにハーレムへ。
この日は夫のJames Zolarさんもトランペットで参加してくれて、
色々なリズムで一曲を歌い、スキャットも交えて。
理論的に足りないところなど色々教えてもらって、満足。
最後に聞いた、ナブコさんとJamesさんのデュオは、圧巻!


その後はナブコさんのすすめで、ピアニストBarry Harrisのワークショップへ。
ジャズを若い世代に伝えていくため、何十年もBarryがやっている
寺子屋のようなワークショップ。
いつもは、Barryが口移しで伝えるメロディーや歌詞、ソロを
生徒がその場でコピーし、演奏したり歌ったりするというもの。
この日は、MY SHIPという曲を教え始めたBarryが気を変えて、
「好きな曲をみんなの前で、ひとり一曲ずつ歌いましょう」と。

50人ぐらいの生徒が並ぶ。私は10番目ぐらい。
前の生徒に次々とダメだししたり、アドバイスをしたりするBarry。
理にかなったコメントはさすが。

いつも歌いなれていて、演奏もしてもらいやすい
I only have eyes for youを歌った。
嬉しいことに、会場からたくさんの拍手と声援をもらった。
Barryはひとこと。
「nice! that was not too bad. just simply sang the song.」
私にとっては、最高のほめことばに聞こえました(笑)

深夜ホテルに帰るも、Gretchen Parlatoのライブのことを
思い出していると寝付けず、「西の魔女が死んだ」を完読。


1日(水)
はやくも最終日。
昼からCITY COLEGEで、suzanne pittsonのレッスン。
この日は徹底的に、ボーカルに必要な理論の基礎をゼロから教えてもらった。
楽器を持たないボーカリストが、声を楽器と同じアプローチで使うためには、
耳とアタマと口をつなげるためのイヤートレーニングが必要。
ピアノを使った方法も含めて、そのやり方を習った。

ものすごい勢いで、学校の一学期でやる内容のほとんどを
カバーする練習法を伝授してもらって、リーズナブルな値段。
さまざまな教材もくれた。

彼女のような先生が日本にいたなら、どんなに助かるだろう…。
もちろん日本にも、これらのことを教えてくれるミュージシャンはたくさんいるけれど、
ボーカルに必要なトレーニングは、少し違っている。
その少しを知るだけで、音の耳に入ってきかたが大きく違う。
話が早い!!

ハーレムでおみやげをチェックした後、
大好きなボーカリスト、Kate Mcgarryのレッスンへ。
彼女は私が最も尊敬するボーカリストのひとりでもある。
私が聞きたかったのは、
前作のアルバムで、ある曲のディレクションをどうやってバンドに伝えたかということ。
また、フリーでソウルフルで、ビバップにとらわれない
彼女独自のフォークなスキャットのスタイルがどこから生まれているのか。

かねてから抱いていた疑問。
「スキャットって、本当にしなくてはいけないの?」と勇気をもってきくと彼女は
「ジャズボーカリストだからって、スキャットする必要は全くないわ。
ボーカリストには歌詞があるし。歌詞をつかって歌の中でスキャットしていればいいのよ」
と、歌の歌詞を使いつつ、自由にメロディーを変えていく。

ジャズ歴代の素晴らしいシンガーも大好きだけれど、
今の同じ時代を生きているボーカリストの歌に、私は自然ともっと共感してしまう。

スキャットで使う音のバラエティーを増やす(聞こえてくる音を増やす)ための
ピアノ&歌の練習法をおそわる。
「だけど、これをやったからって、この音を使う必要は全くないわ。
自由に歌うこと。歌いたいことを歌うこと。それが一番大切。
あなたはもうそれをやっているけれどね。」

NYでは、3人の先生に会った。
それぞれ高いインプロビゼーションのスキルをもっているけれど、
それぞれ練習のやり方はぜんぜん違う。
それだけに、歌い方も全く違う。
情報量は、大切だ。

kateもsuzanneも、
私は吸収が早いこと、
耳がよく、インプロバイズをすでに耳でやっていること、
ピアノを弾く練習をすることで聞こえる音をもっと発展させることができること、
それには学校へ行った方が成長が早いことを勧めてくれた。
ナブコさんは、加えて、私が日本で今たくさんのチャンスをいただいていることが、
どれだけありがたいことかを認識することも、教えてくれた。

夜、Kateのすすめで、Manhattan School of Musicで行われる
Theo Bleckmannのフリーコンサートへ。
ループマシーンと声と少しのパーカションだけで、
オーケストラのようなサウンドを作り上げる、天才。
カーネギーホールやオペラハウスで演奏する彼を間近で見ることができた。

しゃべるぬいぐるみのこえ、ホーミー、メガホン、
おもちゃの楽器、マイクとの距離をじょじょに縮めたりゆっくりと回りながら歌うことで
ダイナミクスとスパイスを加えていく技術は、圧巻。
これが、世界レベルか…。
倍音出まくりで、うとうとしてしまったけれど、素晴らしいものを聴いた。


夜はZink Barに寄ったのち、2時ごろ寝る。
次の日11時30分の飛行機で帰国。


NYへ行ったのは、インスピレーションをもらうためと、
学校の教育でボーカリストは何を学ぶことができるのか調べるため。
でも今回は、それ以上のことを知ることができた。

ただスタンダードを歌う、それはすごく奥深く、難しいこと。
でも、ここ最近それだけでは満足できない自分がいた。
その主な原因は練習法にあると感じていた。

スタンダード以外の曲をユニークに歌っていったり、
スタンダードでも毎回新しいフレーズを生み出してフレッシュに歌うためには、
ピアノと勉強と時間が必要だと知った。


今回私があったいいシンガーや先生の多くは、学校を出たり、
ジャズの理論をとことん学んでいたことは事実。
ただし、ただ学校に行けばいい、レッスンを受ければいい、という問題ではないとも思った。


確かに学校で習うようなことを勉強すれば、いい先生にはなれるかもしれない。
でも、それといいシンガーになることは全く別の問題だ。

いい歌を歌えるかどうかは、ジャズの基礎的なことを、
わかっているかどうかはもちろんだけど、
それ以上にその人がどんな人か、何を歌いたいかだと思う。

たくさんのシンガーを聞いたり、直接会ったりして、それがわかった。

当面の課題は、ピアノをとことんやること。
3ヶ月ぐらいで、suzanneに教えてもらった基礎をマスターするつもりだ。

ステージでの成長や、ありがたいチャンスをたくさんいただいていることと同じように、
私の中で流れ、進み続けている音楽の成長も、
そろそろ次のステップに進まなければいけない。
でないと、私の中でたまっているものを表現できないのではないかと感じる。

お休みをくれた会社のみなさん、NYで私を助けてくれた先生、素晴らしいひとたちを紹介してくれたかおるさん、インスピレーションをくれたアーティストたちに心から感謝します!
ありがとうございました!
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by yukijazzvocal | 2008-10-07 21:23 | 雑記