Jazz Vocalist 山口有紀のブログです


by yukijazzvocal

the power of music


今日は、ヴォイストレーニングの後、
12月にミスターケリーズで共演するPhillip Strangeさんと
軽くリハーサルをした。

その時に、ビリー・ストレイホーンの曲をいくつか弾いてもらった。

デューク・エリントンのコンポーザー/アレンジャーとして知られ
16歳でかの有名なLush Lifeを書いた天才、ビリーストレイホーン。

ゲイであったがゆえに、差別の激しい当時、表舞台に立つことはほとんどなかったけれど、
Take the A train やSatin Dollなど、ジャズの歴史に残るすばらしいアレンジを書いた。

中でも忘れられないのが、UMMGという曲。
美しかった!!
余りの美しさに、フィリップさんは昨日その曲を夢に見てしまい、
どうしても弾きたくなったということで、楽譜を持ってきてくれたのだ。

驚いたのはUMMGがUPPER MANHATTAN MEDICAL GROUP(マンハッタンの病院の名前)の略だったこと!

癌に侵されて入院していたビリーは、死の間際、
ピアノもない病室のベッドの上で
こんな夢のように美しい曲を書いていたのだそうだ。


普通の人なら、ベッドに寝たままになっているだろう時に
彼は、後世の人びとをこんなにも幸せにする音楽を遺そうとしていた。
そのことに感動し、私も心の底から癒された。

彼は、その曲を一度も耳にすることなく死んでいったことを思うと、
人はなぜ音楽をするのか、不思議に思う。

私を一番美しい場所に連れていってくれるもの、それが音楽。

生まれも育ちも性別も国籍も関係なく、
みんなに平等に語りかけてくるもの。
心しか問題じゃなくて、開けば開くほど、入ってくるもの、

悲しみのない、天国みたいに美しい世界にもいけるし、
誰にも言えない孤独を、語らずして誰かと分かち合うこともできるもの。

死が近い人にとっても、それは同じだったんだろう。
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by yukijazzvocal | 2007-09-30 01:59 | 雑記